EPISODE5

<今回の脚本・演出>
脚本:橋部 敦子
演出:平野 眞
それでも結婚する
仲人との顔合わせの席で権は、以前(EPISODE3参照)知り合った医者・徹が、真理子と知り合いであることを知った。帰り際、権は徹から「また今度飲みに行きましょう」と言われ、真に受け喜ぶ。徹とは大学の同級生で、男性からも女性からも、とても人気があったので、徹が結婚する時は大変だった、付き合いたいと思っていた女性が大勢いた、と振り返る真理子。実はその中の一人なのでは?と権が聞くと、真理子はあっさり認めてしまう。その言葉に慌てる権に、真理子は慌てて冗談だと弁解し、ホッとさせた。
その週の日曜日、結婚式場の下見に、権・真理子・珠子・真理子の母で行く。張り切る権と、真理子の母だったが、真理子は面倒くさそうにしていた。

天地高校では、進路を決定する実力テストが迫っていた。
そんな中、権は教頭から結婚式の準備について聞かれる。そろそろ招待状が届くはずだから、と言う権に、「自分が行かなければ始まらないだろう」と教頭。権には、その言葉の真意が理解できなかった。

その夜、権は居酒屋にいた。徹と待ち合わせしていたのだ。権からの誘いを受けた徹は、何か急用でもあるのかと思っていたが、権は徹が何気なく言った「また今度飲みに行きましょう」という「社交事例」を、「約束」だと勘違いしていた。酔っ払った権は、家まで送ってくれた徹が、友達になってくれたと思った。部屋にあるカエサルの像に気づいた徹に、ブルータスに裏切られたカエサルの言葉を話す。「ブルータスお前もか」−−−。
嬉しさのあまり、翌日職員室で、徹と飲んだことを嬉々として鬼頭ら同僚に話す権に、教頭は、またもや結婚式のことを聞いてきた。スピーチの為に、権と真理子のプロフィールが欲しいのだと言う。権は、教頭が仲人をやる気でいることに気づいた。仲人は、真理子の父の知人がやることになっている。焦る権。しかし、教頭には何も言えなかった。
放課後、一時は言おうと心に決めた権だったが、段取りなどに張り切っている教頭の様子を見て、焦りまくってしまい、どうすればいいか迷ってしまうのだった。

悩んだ挙げ句に権は、徹に相談した。「まずは、他の人から真実を知られないようにすること」が大切だと告げられる。
そのころ、教頭は真理子の歯科医院で治療を受けていた。その時、結婚式の話題に触れ、仲人がすでに別人に決まっていることを知らされる。その場では平然としている教頭だったが、内心ショックを受けてしまう。

権の相談は夜まで続き、2人で鍋を食べていた。その途中に珠子がやってきて3人となるが、徹の携帯電話に真理子から電話が入る。徹は、さりげなく真理子に鍋島宅にいることを知らせ、4人で食卓を囲むことにする。真理子と徹の仲を知っている珠子には、「徹」と呼び捨てにして友人づきあいを続けたいとする権の姿を喜ばしく思えない。珠子は、楽しそうに食事をしている3人を置いて先に帰ってしまった。

翌日、天地高校では実力テストが始まった。試験監督をしていた権の目に、信じられない光景が入る。優等生の妙子がカンニングをしている。しかし、妙子がそんなことをするわけはない、と考え直す。
テスト終了後、権は教頭に仲人の件を話そうとする。しかし、教頭はすべてを知っており、権に怒りをぶつける。権は問題を先送りにして、事を大きくしてしまう悪い癖を直せ、と叱責を受けた。

実力テスト2日目。権は決定的な光景を目撃した。やはり妙子はカンニングしていた。正義を貫くという徹の言葉を信じ、テスト終了後、歴史準備室に来るよう、妙子に言う。
権は、妙子にカンニングしていることを見たと告げる。その様子を見ていた、鬼頭と教頭も中に入って、妙子に確認するが、カンニングペーパーが入っていたペンケースからは何も出てこなかった。鬼頭と教頭は、権に間違いを認めるように言う。しかし、権は認めない。教頭は、この学校の教師としてふさわしくない、と判断せざるを得ないかもしれない、と告げた。

歴史準備室から出て来る妙子を珠子は見ていた。そして、妙子の右腕の時計に目が行った。いつもしている時計とは違う。帰ろうとする妙子を引き止め、時計に隠してあったカンニングペーパーを発見する。いつも1番でいなくてはならないというプレッシャーに押されてのカンニングだった。権に謝ろうと、珠子は妙子を連れて、歴史準備室に向かうが、権の姿はなかった。

権は、正義を貫いた結果、こうなってしまったことに、どうすればよいか悩む。そして、徹に相談することを思いつく。病院に電話すると、研究会の為、ホテルにいると教えられる。そのころ、徹は研究会が早く終わりそうなので、真理子をホテルの部屋に呼んでいた。

権がホテルに着くと、徹は1823号室にいることを知らされる。1823号室に向かう権。しかし、その部屋には徹と真理子がいる。客室に連絡を入れようとするが、徹がルームサービスに電話をしていたのでつながらない。権は、そのまま部屋に向かうことにした。
権が1823号室に着いた。チャイムの音にルームサービスが来たと勘違いした徹は、確認もしないまま、権を部屋に呼び込んでしまう。振り向いた徹は、ようやく権に気づいた。その徹の後ろから、バスローブを着た真理子が現れる。ショックを受けた権は何も言わず、その場を去った。

夜、真理子の携帯電話に権から連絡が入る。権は、予定通り結婚しようと言って電話を切った。その言葉に呆然とする真理子。
家路につく途中、川辺を歩いていると、珠子がいる。権をずっと探していたのだ----

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