EPISODE4

<今回の脚本・演出>
脚本:福島 三郎
演出:丸 雅隆
不純異性交遊
やっと、真理子とデートした権。そのデートの席で、真理子からブレスレットをプレゼントされた。封を開ける前から「気に入った」と言う程、喜びで有頂天になる。しかし、そのブレスレットは、真理子が患者にもらったもので、徹に譲ろうとするが、断られてしまい、それが回ってきたと言う代物だ。そんなことも知らず、権はブレスレットを大切にするのだった。
ある朝、いつものように出勤前の権の家に上がり込んでいた珠子は、大切そうにブレスレットを磨いている姿を見て、権を冷やかす。ふざけて権の手からブレスレットを取り上げようとする珠子。それを阻止しようとする権。お互いの勢いで、ブレスレットは引きちぎられてしまった。慌てて破片を拾い集める権の姿を見て、珠子は黙って部屋を飛び出していった。

天地高校では、職員会議が開かれていた。議題は、毎年恒例の職員旅行をどこにするかだ。教頭は、例年どおり箱根の温泉旅行を提案したが、権は内心賛成しかねていた。そのわりに、対案もないので、反対するわけにもいかない。ところが、鬼頭が反対の手を挙げた。富士登山という案も提案する。木村・竹内は、その案に賛成する。教頭は、難色を示すが、決を採ると、徐々に他の職員も手を挙げていく、権はその様子を伺っていた。一人だけ違っていたり、劣勢の意見の方に傾いていると、自分に不利になるからだ。最後、教頭が手を挙げたのを見て、権も賛成の手を挙げた。

職員旅行の件が片付くと、教頭から、権のクラスの京子の自殺騒ぎについて、原因は他校の生徒との交際のもつれから来たことにある、と説明。鬼頭は立ち上がり、繁華街の見回りを提案する。その夜、さっそく職員達での見回りが始まった。教頭は、木村・竹内を誘い、権は鬼頭に誘われ、二手に別れて行うこととなった。
繁華街をしばらく歩いていると、権は偶然、珠子の姿を見つけた。それも、外国人の男性と親しげに会話している様子だ。鬼頭は、道端に気力なく座っていた老人に声をかけていて、珠子の姿には気がつかない。一体珠子は何をしているんだ、と思いながら、権が鬼頭の方に目をやっているうち、珠子の姿はなくなっていた。
教頭らも、その頃見回りを続けていた。すると、繁華街の裏道の方で、珠子の姿を見つける。外国人の男性と親しげに話し、手には金を持っている。何かの交渉が成立したようで、男性と抱き合い、そのまま道の奥へ入っていった。竹内は、その一部始終をカメラに収めた。

翌日、権は教頭に呼び出された。昨夜の珠子の一件についてである。緊急に職員会議が行われた。退学を含めた、珠子の処分を決めたいと、教頭は言う。しかし、そこで鬼頭が立ち上がり、珠子から話を聞きたいと言う。権の意見も求められるが、何も言えない。結局、珠子のことについては、鬼頭に一任することとなった。その結論は、その日の放課後に再度会議を行って決めるということになった。しかし、この日は、真理子や真理子の父の知人である仲人らと食事をする予定があり、他の日にして欲しかったが、鬼頭に諭され、渋々承諾した。

放課後、珠子は権に伴われて歴史準備室に連れてこられた。そこには、鬼頭が待っていた。鬼頭は、昨日のことを話すように珠子に言う。珠子は、「やましいことはしていない」と言うばかり。鬼頭の説得には、すっかりひいてしまい、答えようとしない。鬼頭は、権に意見を求めるが、鬼頭に一任してるから、と言ってしまう。珠子は権に任せると言って部屋を出ていった。
職員会議が始まった。鬼頭は珠子を退学させるべきと言う。鬼頭は、自分に正直に話さなかった珠子は、この学校になじめなかったせいで心を閉ざしてしまっているのだと言う。やましいことなどしていないと言う発言は嘘に違いないと考え、珠子にとって、この天地高校は合わないのだと主張した。教頭を含め皆賛成したが、権には珠子がそのようなことをする生徒には思えなかった。休憩の後、決が採られることになった。
権は一人考えていた。彼女は心を閉ざしてなどいない。権は自分の気持ちに素直な珠子の姿を知っている。珠子のことを信じることにした。
決が採られることになったが、教頭は、皆が賛成であると思っていたため反対の意見だけを挙げてもらうことにした。すると、権は拳を震わせながらゆっくりと手を挙げた。反対の意見を述べよと言う鬼頭らに「わからないが彼女はその様なことをする生徒ではない」と、その手を下げることはなかった。全員一致をもって可決とする、天地高校の規則により珠子の退学処分は保留となった。
歴史準備室で珠子が待っていた。権が事の次第を説明すると、珠子は「ありがとう」と一言。しかし権は自分のためにやったことだと言った。珠子にはそれが意外に感じられた。

会議が終わってホッとしている権に、真理子らとの食事の約束があることを珠子が思い出させた。慌てて駈け出していく権に珠子はブレスレットを投げ渡した。珠子が繁華街で男性達とやりとりをしていたのは、ある朝壊してしまった真理子からのプレゼントのブレスレットの代わりのものを探すためのことだったのだ。それを聞いて、権は明日の職員会議で報告することを約束し、学校をあとにした。

遅れてレストランに到着した権。その場には真理子、真理子の両親、仲人夫妻、何故かその場に以前道で倒れていた女性を助けた医者がいる。仲人は、なんなら彼が新郎でもいいじゃないかと笑っている。その場にうまくなじむことができず、立ちつくす権だった。

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