EPISODE2

<今回の脚本・演出>
脚本:福島 三郎
演出:星 護
臆病者の恋の告白
権は、真理子の結婚の承諾を受け、”結婚までの歩み”と題したノートをつけ始める。真理子との結婚計画を記したノートだ。しかし、権が勝手に書き始めたもの。このままでは、権の日記になってしまうので、真理子をデートに誘い、結婚までの予定を話し合おうとする。
しかし、待ち合わせの時間には、真理子は来ない。権は、事故にでもあったのではないかと心配しているうちに、妄想の中で自分が振られてしまったのではないかと動揺する。そんな中、真理子から電話が入り、仕事があってこられなくなったと説明を受け安心する。実は、真理子は徹とデートをしている最中だったのだ。そんなことも知らずに、権は日記状態の”結婚までの歩み”を嬉々として書き綴っていくのだった。

天地高校では、生徒の進路指導の面談が始まった。が、権は結婚のことで頭がいっぱいで、それどころではない。当たり障りの無い答えしかしない。だが、権のクラスの生徒・伸二は、自分の好きないずみが受ける大学を受けると言うが、彼のレベルでは難しいようだ。権は、人生あきらめが肝心、叶わないものは叶わないと告げる。

その夜、自宅ですっかり妄想に入っている権は、結婚式で真理子とキスをしている姿を想像していたが、それを勝手に家に上がり込んでいた珠子に目撃される。そして、なぜか2人でスーパーで断りきれずに買ってしまったウインナーづくしの食卓を囲んだ。その時、真理子の予定を珠子に聞くが、電話してみるように勧められ、携帯電話に電話する。しかし、電話に出たのは真理子とデートしていた徹だった。驚く権に、珠子は「恋人かな?」。直後に、真理子から電話があり、電話に出たのは遠い親戚と説明、次のデートの約束をする。
権は、珠子を送っていく途中、初めて2人が出会った場所で、あの夜は本当に何もなかったのか尋ねる。珠子は、そこにあるオブジェを見ながら「カエサル」と一言。権には理解できなかったが、オブジェとカエサルは、2人を結び付ける何かであるようだ。

翌日、権は真理子と約束した喫茶店で待っていた。ところが、またしても真理子は現れなかった。真理子はその頃、自宅で本を読んでいた。

ある日、職員室で、同僚教師たちが話をしている。友人が婚約したが、結婚の準備に入ろうとすると、相手がなかなか会ってくれないのだと言う。その話を、そっと盗み聞きしている権。自分と似ているような状況なので、気になってしまう。実は、相手には別に付き合っている人がいたとのこと。。会話の輪の中にいた鬼頭が「婚約破棄だな」。他に付き合っている人?この間の電話の男か?その一言で、権はいろいろなことを想像してしまう。自分も婚約破棄されてしまうのだろうか。一人、歴史準備室で不安になっていく権。進路のことで部屋を訪ねた珠子にも返事は上の空だ。そんな権に珠子は真理子とつながっている自分の携帯電話を差し出した。権は、真理子の誕生日である明日のデートの約束を取りつけた。

誕生日は特別な日だ。権もプレゼントを用意して待っている。ところが、また真理子は現れない。レストランで権が待っていると、真理子の歯科医院のスタッフと偶然会った。しばらく経つと、真理子から電話が入った。歯科医院のスタッフが祝ってくれるので、今日も行くことができないのだと言う。しかし、権のすぐ側にそのスタッフはいる・・・。真理子は、やはり徹に誕生日を祝ってもらっていたのだ。

真理子には付き合っている人がいる。その疑いは更に濃くなった。家路についた権を待ち伏せしているかのように、珠子がいた。2人で歩いていると、偶然にも真理子と徹が一緒にいるところを目撃してしまう。それも、2人が見ていることも知らずにキスをしている。疑心は確信に変わってしまった。

すっかりあきらめてしまった権。翌朝、真理子からの食事の誘いを珠子から聞くが、もう終わったことだと言う。珠子は、まだ始まっていないのだからそれもいいのでは、と言われる。
その日の放課後、権は教室で一人勉強している伸二を見かける。どうしても大学を受けたいのかと問う権に伸二は、無理でも、何もしないで終わってしまったら悔しいので、いずみと一緒の大学を受けるだけ受けたいのだと告げた。

真理子と珠子は、予約したレストランで権を待っていた。しかしなかなか権は現れない。痺れを切らして、真理子は徹を呼んだ。だが、徹が現れたのと時を同じくして、真理子と珠子の前に、権が徹の存在にも気づかず誕生日プレゼントを手にやってきた。
権は、権のあまりの勢いに呆気に取られる真理子に、カエサルが一度負けた相手には再び挑んでその後2度と負けなかったことを例に挙げ、自分は行動力もなく頼り甲斐はないし、あなたに他に付き合っている人がいたとしても、婚約する以前に伝えなければならないことがあった、と真理子への思いを告白。それだけを告げて、帰って行った。珠子も権を追って出ていった。

権の後を追って来た珠子の携帯電話に真理子から連絡があった。権が電話を代わる。「私も鍋島さんのことが大好きです」。自分の思いが報われ喜びを隠せない権。一方真理子は、徹とベッドの中におり、権からもらった誕生日プレゼントの「ガリア戦記」(カエサル著)の文庫本はページをパラパラとめくっただけで、ごみ箱に放り込まれてしまった。


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